介護・福祉分野で該当する業務例
屋内施設内での業務
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空調設備が不十分な特別養護老人ホーム、グループホームなどでの介護業務全般
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デイサービスでの入浴介助(浴室・脱衣所は高温多湿になりやすい)
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調理場や配膳業務(厨房の温度上昇)
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空調が不十分な職員休憩室や倉庫での物品整理や搬入
屋外または半屋外業務
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利用者の送迎時の車両乗降介助(特に屋外駐車場での待機)
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敷地内の草取り、掃除、ゴミ出し
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屋外イベントや夏祭りの設営・誘導など
医療分野で該当する業務例
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診療所・病院内での空調が効きにくい場所での看護・介助業務(リネン室、廊下など)
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在宅医療や訪問看護・訪問リハビリ業務(移動・車両内・訪問先)
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救急搬送対応中の搬出入作業(駐車場・搬入口)
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空調が不十分な病室での長時間看護業務
保育分野で該当する業務例
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園庭での外遊びの見守りや水遊びの準備・片付け
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通園バスの添乗、園児の乗降補助(バス内や駐車場での高温環境)
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遠足や散歩の引率(移動中の直射日光下)
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空調が不十分な保育室や調理室での長時間保育・作業
「労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和7年厚生労働省令第57号)」により、労働安全衛生規則612条の2が新設され、令和7年6月1日から施行されます。
これは、職場における熱中症対策を強化するもので、その規定の概要は次のとおりです。
□ 次の1.、2.の事項を事業者に義務付ける
1. 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、次の①又は②の者がその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
① 熱中症の自覚症状がある作業者
② 熱中症のおそれがある作業者を見つけた者
2. 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、次の①~④など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
① 作業からの離脱
② 身体の冷却
③ 必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
④ 事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
※熱中症を生ずるおそれのある作業WBGT(湿球黒球温度)28度又は気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるものをいう。
この度、厚生労働省から、この改正の内容を分かりやすく説明したリーフレットとパンフレットが公表されました。
また、この改正の趣旨や細部事項などを周知するための通達も発出されました(令和7年5月20日公表)。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<「職場における熱中症対策の強化について」リーフレット>
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001476825.pdf
<「職場における熱中症対策の強化について」パンフレット>
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001476824.pdf
<労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について(令和7年5月20日付け基発0520第6号)>
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001490911.pdf
なお、今回発出された通達では、「改正により新設される労働安全衛生規則第612条の2は、労働安全衛生法第22条に基づくものであり、個々の事業者に対し、措置義務が課されるものであること」と説明されています。
この労働安全衛生法第22条には、罰則が設けられており、同条の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされています(労働安全衛生法第119条第1号)。