2025年度 保育所・認定こども園の人材確保に関する調査について

保育現場の人材不足は年々深刻度を増しています。
2025年に公表された福祉医療機構(WAM)の最新調査では、**42.6%の保育所・こども園が「職員が不足している」**と回答しました。
前回よりは改善したものの、まだまだ厳しい状況です。

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1. 4割以上の施設が依然として人手不足

調査時点(2025年4月1日)で、職員が足りていない施設は 42.6%

特に不足しているのは

  • 保育士(保育所の97.8%が不足)

  • 保育教諭(こども園の94.0%が不足)

つまり、「専門性のある正規職員」こそ最も採用しづらいという現実が浮き彫りになっています。

さらに、保育士の有効求人倍率は 2.58倍。一般職の1.18倍と比べ、競争が激化していることが明らかです。


2. 人材不足の理由で最も多いのは「採用できない」

不 足の理由を尋ねたところ、

  • 採用したい人数を採用できない:77.9%

  • 産休・育休:62.4%

  • 保育の質向上・ニーズ多様化:42.5%

  • 働き方改革で労働時間が減少:32.0%

採用が難しいのはもちろん、働き方改革や保育ニーズの高度化が、現場の負担をさらに押し上げている のが実態です。


3. 不足が続くと何が起きるのか?

影響として最も多かったのは次の3つ。

  • 現場負担の増加:83.7%

  • 保育の改善・充実の低下:56.3%

  • 利用児童の受入れ制限:51.9%

特に受入れ制限は、運営収入の減少 → 経営への直接ダメージにつながるため、園としても避けたい事態。


4. 採用活動の実態:成功率3割の厳しさ

2024年度の採用活動では、
新卒も中途も「計画どおり採れた」という園は約3割。

【新卒採用の決め手】

  • 実習生の受入れ

  • 学校訪問(就職課)

  • 教員やOB推薦

つまり、
新卒採用は「学校ルート」が勝負。SNS広告よりはるかに強い。

【中途採用の決め手】

  • 人材紹介会社(効果は高い)

  • 職員の紹介(リファラル)

ただし紹介会社は紹介手数料の満足度は8.7%しかない→ 負担が重いという声が多い。


5. 退職理由の中でも注目すべき傾向

退職者がいた園は 65.3%(平均2.4人)。

不足している園ほど「保育業界内での転職」40%と回答しています。

つまり、負担過多 → 疲弊 → 他園へ転職という流出ルートがはっきり見えてきます。


6. 定着の肝は「負担を減らす」「働き方を見直す」

課題のトップは、

保育業務の責任・負担の大きさ(62.8%)

現場の声としては、

  • 行事準備や書類量が多すぎる

  • 人が足りないのに業務は増える

  • 休みが取りづらい

  • メンタル負担が大きい

など、構造的問題が表面化。


7. 全国の園が実践してい効果の高い施策

調査で挙がった、実際に効果のあった取組みは以下の通りです。

●業務削減・ICT化

  • 登降園管理システム

  • 連絡帳アプリ

  • 午睡チェックデジタル化

  • 個人PCの整備

  • 職員へのタブレット配布

●働き方改革

  • 時間単位有給の導入

  • 完全週休2日

  • 持ち帰り業務の禁止

  • 事務作業を勤務内に集約

●人材育成・支援

  • チューター制度

  • 定期面談

  • メンタル相談窓口

  • 研修制度の充実

どれも「現場の負担軽減」を軸にしています。


8. ICTが充実している園ほど、人材不足が少ない

特筆すべきはこのデータ。

ICT機器が充実している園は、不足率が10.5ポイント低い。

理由は明確で、

  • 事務負担の軽減

  • 職員間連携の向上

  • 時間外業務の削減

  • 精神的負担の軽減

が実証されているためです。

ただし課題もあり、

  • 費用負担

  • ITに詳しい職員の不足

という声が突出しています。


9. 処遇改善等加算は9割以上が算定、事務負担は軽減へ

処遇改善等加算(1〜3)はほぼ全ての園が算定。
2024年度からは

  • 計画書提出の原則廃止

  • 加算の一本化

など、事務負担が軽くなる方向へ進んでいます。


10. 結論:これからの保育園が取るべき戦略

今回の調査から導き出せる“勝ち筋”は明確です。

① 新卒採用は「学校ルート強化」が必須

実習・学校訪問・教員推薦が最も効果的。

② 中途採用は「紹介+リファラル」の二刀流

コストと効果のバランスを見極める。

③ ICT導入は採用・定着の最強カード

業務削減→満足度向上→退職防止の循環を作る。

④ 処遇改善等加算の活用で給与・福利厚生を底上げ

制度を使い切ることが離職防止につながる。

⑤ 職員のメンタルケアと業務見直しが最重要課題

面談・チューター制度・業務削減をセットで。

※【チューター制度とは?】

新人職員を確実に定着させるための個別サポート制度

新人1名に対し、先輩職員(チューター)を1名固定で割り当てて、入職後の一定期間マンツーマンでフォローする仕組みです。

⑥ 受入れ制限を避けるための早期採用計画

採用活動は“前倒し”が勝負。


まとめ

2025年度の調査は、
「保育園の採用・定着は、工夫次第で改善できる」
という明確な示唆を与えています。

  • 業務削減

  • ICT化

  • 職員のメンタルケア

  • 学校との連携強化