厚労省から「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業に関するQ&A(第1版)」が示されました。
1.締切は「都道府県が決める」
国が一律の提出期限を決めているわけではありません。
計画書・実績報告書の受付開始や提出期限は、都道府県が事業スケジュールを踏まえて設定します。
したがって最初にやるべきことは、都道府県の要綱・提出期限の確認です。
鹿児島県 鹿児島県公式ホームページ
2.「いつまでに賃上げ等をやる?」は、補助金を受け取る時期で変わる
実施期間は2パターンです。
- 令和8年3月末までに補助金を受給
→ 令和7年12月〜令和8年3月末までに賃金改善・職場環境改善を実施。 - 令和8年4月以降に補助金を受給
→ 令和7年12月〜(都道府県が定める)実績報告書提出期限までに実施。
また、賃金改善は「緊急支援」という趣旨から、できるだけ早く実施と明記されています。
→ 実務では「いつ・誰に・何を・いくら上げたか」を一覧にして残すのが安全です。
3.対象事業所と「基準月」:原則は12月、でも例外がある
ここが一番事故ります。
原則
- 令和7年12月にサービス提供している事業所等が対象
- 基準月も原則「令和7年12月」
例外(この条件に当てはまるなら基準月をずらせる)
都道府県スケジュール等により、次の場合は、事業所の判断で 令和7年12月〜令和8年3月のどれかを基準月にできます。
- 12月の報酬が著しく低い(大規模改修、感染症まん延など)
- 12月提供分が月遅れ請求
さらに、令和8年1〜3月に新規開設なら、原則は「初回のサービス提供月」が基準月。
ただし提供日数が著しく少ない等なら、初回月〜令和8年3月の別月も選べます。
ポイント:例外を選んでも、都道府県へ事由の届出は不要という整理です。
ただし、最終的には都道府県要綱に従うので、例外を使うなら「理由メモ」は残してください。
4.誰を賃上げ対象にできる?:介護職だけではない
対象者(介護従事者)の想定範囲は広いです。
医師・看護師・リハ職・ケアマネ・相談員・栄養士・歯科衛生士・調理員などに加えて、その他の事務職等も想定されています。
→ 「事務は対象外」と決め打ちすると制度趣旨とズレます。
5.法人本部職員は対象にできる?:条件付きでOK
法人本部職員でも、補助対象の介護サービス事業所等の業務を行っていると判断できる場合は、賃金改善の対象にできます。
ただし、補助金対象外事業所の職員は対象にできません。
→ 兼務がある法人は「どの業務に従事しているか」を整理しておくべきです。
6.賃上げすると社会保険料も増えるが、それも計上できる
賃金改善に伴う 法定福利費等の事業主負担増についても、賃金改善に含めることが可能です。
→ 賃上げ設計は「支給額+事業主負担」込みで見積もるのが正解です。
7.実績報告でつまずく「賃金改善経費分」の出し方
国保連通知が総額しかなくても、Q&Aは確認方法を示しています。
- 交付額 ×(賃金改善経費分の交付率 ÷ 交付率)
- 1円未満は四捨五入
- 様式上は「①+②(賃金改善経費分)」欄で表示される整理
→ 実績報告直前に慌てないよう、交付額が見えた時点で配分の試算を作っておくのが堅いです。
8.職場環境改善経費:「使える」「使えない」が明確(機器購入はNG)
職場環境改善経費は、基本的に次の範囲です。
使える(OK)
- 介護助手等の募集経費:求人広告・チラシ等
※ 人材紹介の紹介手数料も可(介護助手等の募集に限る) - 職場環境改善の研修費等:見える化、体制構築、役割分担の取組に必要な費用(専門家派遣、会議費等)
※ただし 機器購入費ではない費用に限る。
使えない(NG)
- 介護テクノロジー等の機器購入費用には充当不可(対象経費か否かにかかわらず不可)
- PC端末等の購入費用は適当ではないと明言
→ 「職場環境改善のため」でも、購入系は基本アウト。ここは厳格に運用してください。
9.証憑:一律添付は不要。ただし2年保存が必須
審査で一律の資料添付は求めない整理です。
しかし、根拠資料は事業所で整備し、求めがあれば提出できる状態が前提。保存期間は2年です。
チェックリスト
- 都道府県の要綱・締切を確認
- 基準月を確定(例外なら理由メモ)
- 使途を確定(賃金改善/募集費・研修費、購入はNG)
- 対象者を棚卸し(事務・調理等も含む)
- 証憑を整備し2年保存