令和6年2月からの福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金に関するQ&A(令和6年2月8日版)

○賃金改善全般について

問1 令和6年2月分及び3月分の賃金改善は一時金等での対応も可とされているが、その場合、どの程度の賃金改善を行っている必要があるか。

(答)
令和6年2月からの福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金(以下「本交付金」という。)においては、毎月ごとに賃金改善額が交付額を上回ることを求めるものではないため、令和6年2月分及び3月分として見込まれる交付金額のすべてを、令和6年2月分及び3月分の賃金改善に充てる必要はない。ただし、全体で、2月から5月分の4か月間の交付金の合計額を上回る賃金改善を行うことが必要であるため、計画的に賃金改善を行っていただきたい。

 

問2 交付金の対象期間は、令和6年2月から5月までの期間とされているが、交付額に相当する賃金改善の実施は、何月に行う必要があるか。

交付額は、令和6年2月から5月までの各月の障害福祉サービス等報酬総額を用いて算出するため、令和6年2月分から5月分の賃金改善が必要である。なお、「○月分の賃金改善」というのは、「○月の労働に対する賃金を引き上げる」又は「○月に支払われる賃金を引き上げる」のいずれの方法もとりうるものであるが、現行の処遇改善加算等と異なる取扱いとならないよう、各事業所において適切にご対応いただきたい。

○基本給等の引上げに係る要件について

問3 令和6年2月分から賃金改善を行うことが交付要件とされているが、令和6年2月分及び3月分の賃金改善は一時金で対応したとしても、4月分以降は毎月の基本給等の引上げが必要か。

 

(答)
賃金改善が賃上げ効果の継続に資するよう、令和6年4・5月分の交付額の3分の2以上の賃金改善を、令和6年4・5月分の基本給又は決まって毎月支払われる手当(以下「基本給等」という。)の引上げに充てることを交付要件としている。
そのため、令和6年2月分及び3月分の賃金改善は一時金により対応した場合であっても、令和6年4月分以降は、基本給等による毎月の賃金改善を行うことが必要となる。その際、令和6年6月以降の福祉・介護職員処遇改善加算等の制度の見直しによる加算率の引上げを見据え、賃金改善の方法としてはベースアップ(賃金表の改訂により基本給等の水準を一律に引き上げること。以下同じ。)を基本とすること。

問4 基本給等による賃金改善を開始した後に、利用者が想定よりも増えるなど、交付金の受給額が計画書作成時の見込額を上回り、基本給等に充てるべき額が増加した場合、必要に応じて再度就業規則等を改訂し、基本給又は決まって毎月支払われる手当を更に引き上げることが必要か。

(答)
貴見のとおり。なお、令和6年4・5月分の交付額の3分の2以上の賃金改善を、令和6年4・5月分の基本給等の引上げにより行うことが必要であることから、当初の計画以上に報酬額が増加した場合に備え、余裕のある賃金改善計画の策定に
努めること。

問5 時給や日給を引き上げることは、基本給等の引き上げに当たるか。

(答)
基本給が時給制の職員についてその時給を引き上げることや、基本給が日給制の職員についてその日給を引き上げることは、基本給等の引き上げに当たる。問6 令和6年2月及び3月に一時金で賃金改善を行った場合、同年4月及び5月の2か月間において基本給等に係る要件を満たしていればよいか。もしくは、同年2月から5月までの4か月間全体で当該要件を満たしている必要があるか。

(答)
交付金の交付対象期間が4か月間と短いことから、令和6年4・5月分の 2 か月間で、交付金額の3分の2以上の基本給等の引上げを行っていれば要件を満たす。

問7 基本給等の引上げに係る要件については、「福祉・介護職員」と「その他の職員」のグループごとに満たす必要があるか。

(答)
賃金改善の対象とする職員全体で、令和6年4・5月分の交付金額の3分の2以上の基本給等の引上げを行っていれば要件を満たす。ただし、事業者が賃金改善の対象とする福祉・介護職員、その他の職員については、それぞれの区分毎に、賃金改善額の3分の2以上を基本給等に充てるよう努めること。

問8 賃金改善額について、「当該賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担の増加分を含むことができる」とされているが、法定福利費等の事業主負担の増加分は、基本給等による賃金改善に含めてよいか。

(答)
法定福利費等の事業主負担の増加分については、基本給等による賃金改善には当たらないが、基本給等以外の部分として、賃金改善額に含めることは可能である。

問9 令和6年4・5月分の交付金額の3分の2以上を基本給等に充てることが要件とされているが、基本給等に充てた額以外の分について、用途制限はないのか。

(答)
全体で、交付金の合計額を上回る賃金改善を実施することが必要であるため、基本給等に充てた額以外の分についても、賞与や一時金等による賃金改善に充てなければならない。その際、賃金改善とは賃金(基本給、手当、賞与等(退職手当を除く。)を含む。)の改善であって、賃金以外のコスト(事務費・設備投資・職員研修費等)に充ててはならない。

問 10 「決まって毎月支払われる手当」とはどのようなものか。

(答)
「決まって毎月支払われる手当」には、労働と直接的な関係が認められ、労働者の個人的事情とは関係なく支給される手当を含むが、以下の諸手当は含まない。
・ 月ごとに支払われるか否かが変動するような手当
・ 労働と直接的な関係が薄く、当該労働者の個人的事情により支給される手当
(通勤手当、扶養手当等)
ただし、以上の手当は賃金改善の対象となる「賃金」には含まれる。

問 11 就業規則等の改訂が間に合わず、本年4月以降に基本給等による賃金改善が実施できない場合は本交付金の対象外となるのか。

(答)
貴見のとおり。ただし、就業規則の改定自体は交付金の要件ではない。そのため、就業規則等の改訂・変更を行わなくても、令和6年4月分の賃金から基本給等による賃金改善を実施できるのであれば、交付金の要件を満たす。

○その他の要件について
問 12 その他の職員の範囲は、事業所の判断で決められるのか。また、福祉・介護職員とその他の職員について、配分割合等のルールは設けられているか。

(答)
本交付金の配分対象とする福祉・介護職員以外のその他の職員の範囲は各事業所においてご判断いただきたい。また、本部の人事、事業部等で働く者など、法人内で障害福祉サービスに従事していない職員の取扱いについては、2019 年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A(Vol.2)(令和元年7月 29 日)問 11 を参照されたい。なお、その他の職員にも配分を行う場合は、福祉・介護職員の処遇改善を目的とした交付金であることを十分に踏まえた配分をお願いしたい。
(参考)2019 年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A(Vol.2)(令和元年7月 29 日)

問 11 本部の人事、事業部等で働く者など、法人内で障害福祉サービスに従事していない職員について、「その他職種」に区分し、特定加算による処遇改善の対象とすることは可能か。

(答)
特定加算の算定対象サービス事業所における業務を行っていると判断できる場合には、その他の職種に含めることができる。
問 13 福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算について、いつの時点で算定している必要があるか。

(答)
交付金の交付対象となる各月について福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算(以下「ベースアップ等加算」という。)を算定していることを基本とする。ただし、令和6年2月サービス提供分からベースアップ等加算の算定に必要な準備・届出等が間に合わない場合に限り、令和6年4月からベースアップ等加算を算定していれば、本事業の対象とする。なお、この場合、令和6年2月分から本交付金の交付対象となる。

○処遇改善計画書・実績報告書について
問 14 処遇改善計画書の「福祉・介護職員等の賃金の総額」には、福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算及びベースアップ等加算を算定し実施される賃金改善額並びに各障害福祉サービス事業所等の独自の賃金改善額を含む額を記載するのか。

(答)
貴見のとおり。

問 15 処遇改善計画書・実績報告書の提出受付開始時期・提出期限はいつか。

(答)
各書類の提出受付開始時期・提出期限については、各都道府県において適切に設定されたい。

問 16 前年度の福祉・介護職員等の賃金の総額は、前年度から事業所の福祉・介護職員等の減少や入れ替わり等があった場合、どのように考えればよいか。

(答)
実績報告書における「①令和6年2月から5月の処遇改善臨時特例交付金を除いた賃金総額」と「②令和5年2月から5月の賃金総額」の比較は、本交付金による賃金改善以外の部分で賃金水準を引き下げていないことを確認するために行う
ものである。一方で、賃金表のベースダウン(一律の引下げ)等を行ったわけではないにも関わらず、事業規模の縮小に伴う職員数の減少や職員の入れ替わり(勤続年数が長く給与の高い職員が退職し、代わりに新卒者を採用した等)といった事情により、上
記①の額が②の額を下回る場合には、②の額を調整しても差し支えないこととする。
この場合の②の額の調整方法については、例えば、
・ 退職者については、その職員が、令和5年2月から5月に在籍していなかった
ものと仮定した場合における賃金総額を推定する
・ 新規採用職員については、その者と同職であって勤務年数等が同等の職員が、
令和5年2月から5月に在籍したものと仮定した場合における賃金総額を推定する等の方法が想定される。

○その他
問 17 令和4年2月からの福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金とは異なり、都道府県に対して賃金改善開始の報告様式の提出は不要になったのか。

(答)
貴見のとおり。本交付金においては、令和6年2月分から賃金改善を実施していることを処遇改善計画書において確認することとし、令和4年2月からの福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金において計画書とは別に提出を求めていた「賃金改善開始の報告」の様式の提出を求めないこととした。ただし、令和6年2月分からの賃金改善の実施は要件であることに留意されたい。

問 18 交付金の算出に用いる総報酬には、福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算及びベースアップ等加算分を含めたものか。

(答)
貴見のとおり。

問 19 原則として、令和6年2月分から賃金改善を実施することが要件とされており、本年3月以降に新規開設する事業所は本交付金の対象となるか。

(答)
本年3月以降に新規開設する事業所については、令和6年2月分からの賃金改善の実施以外の要件を満たす場合には、本交付金の対象となる。

問 20 交付対象期間中に休廃止した事業所について、本交付金の対象となるか。

(答)
本交付金は、福祉・介護職員の継続的な賃金改善を目的として、基本給等の引上

げを要件とするものであることから、処遇改善計画書の提出時点で令和6年5までに休廃止することが明らかになっている事業所については、本交付金の交付の対象外とする。
ただし、処遇改善計画書の提出時点では見通せなかった事情等により、交付対象期間中に事業所が休廃止することになった場合については、休廃止することが明らかになった時点で速やかに都道府県に届け出ることとし、休廃止となった月の前月までを、交付金の交付対象期間とする。

問 21 障害者支援施設が行う日中活動系サービスの交付率は、福祉・介護職員処遇改善加算等の取扱いと異なり、各サービスと同じ交付率を適用することとなるのか。

(答)
貴見のとおり。
問 22 令和6年4月から福祉・介護職員処遇改善加算等の対象となる、就労定着支援及び自立生活援助のサービスは本交付金の対象となるのか。

(答)
令和6年4月から本交付金の要件を満たす場合は、対象となる。
○都道府県の事務等について

問 23 事業者から本交付金を債権譲渡したい旨の要望があった場合の考え方如何。
(答)
本交付金は、全額を福祉・介護職員等の賃金に充てることを支給の要件とする交付金であり、債権譲渡することは適当ではない。
このため、債権譲渡等により、国保連合会に登録されている口座に本交付金を振り込むことが適当でない事業所に対する本交付金の支払いについては、債権譲渡を行っていない事業所の介護給付費等の振込先口座又は障害福祉サービス事業者等の口座に直接支払(振込)を行うこととする。

問 24 国保連合会との交付対象事業所リストの連携について、決まった方法があるか。

(答)
交付対象事業所リストの連携方法等については、各都道府県において国保連合会と調整いただきたい。

 

問 25 月遅れ請求、過誤調整等により、事後的に総報酬の額が増減する場合、交付金の支払・返還をどのようにすべきか。

(答)
月遅れ請求等の対応については、実施要綱において「当該請求に係る交付金の支給を2か月間対応することとする」としているところ。
また、月遅れ請求等により、
・ 事後的に報酬が増額した場合
・ 事後的に報酬が減額したが、当月の総報酬がプラスである場合については、交付金額の調整は国保連合会において対応がされる。
なお、事後的に総報酬が減額し、当月の総報酬がマイナスとなった場合については、交付対象期間全体でみたときに交付金額が適正なものとなるよう個別にご対応いただく必要がある。

問 26 事業所に対する交付決定について、処遇改善計画書の「2①福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金の見込額」の額に基づき交付決定を行うこととしてよいか。

(答)
お示しいただいた方法を想定しているが、都道府県と事業所との事務処理については、各都道府県の財政担当部局と調整の上ご対応いただきたい。なお、国保連合会から都道府県に提供される交付額の値は、月ごとの確定した障害福祉サービス等報酬に交付率を乗じたものであり、処遇改善計画書の「2①福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金の見込額」そのものが支払われるものではな
い。

問 27 市町村が指定権者である事業所についても、本交付金については都道府県が対応する必要があるか。

(答)
貴見のとおり。

問 28 国保連合会に委託を行うか否かについては、各都道府県の判断と解して
よいか。

(答)
貴見のとおり。

問 29 令和6年2月分から5月分までの交付金全額をまとめて6月に事業所に対して支払い、実績報告書提出後に精算する取扱いは可能か。

(答)
事業者に対する支払時期・回数等については、障害福祉サービス事業者等の経営にも配慮し、各都道府県において、可能な限り早期の支払となるよう、適切な運用に努められたい。